仕事をしていると失敗することやうまくいかないことはたくさんあります。
結果を残すためには、そこからいかに立ち直るかが重要です。
あなたが組織のリーダー的立場なら、部下の中にも失敗をしてもそれを糧にして次の仕事の成果に繋げることができる人もいれば、1つの失敗によって落ち込み、自信を無くしたりうつになってしまう人もいることを目のあたりにしているのではないかと思います。
今回は心理的資本の要素の3つ目『Resilience(回復力)』について見ていきましょう。
リーダーがやってしまいがちな間違った対応
部下のレジリエンスには上司の声かけの仕方が大きく影響します。
上司の望ましい関わり方が、部下のレジリエンスを育てていくのですが、適切なアプローチを学ぶ前にやってはいけないアプローチについて知っておいて欲しいと思います。
なぜなら、人を支援するコミュニケーションにおいて何より重要なことは、相手を害さないことだからです。
相手に責められていると感じさせる質問
まず1つ目は、「なんでそんなミスをしたの?」「前にも同じようなこと言わなかった?」と、落ち度を責め立てる対応です。
部下はこのように言われると、責められたと思って本当のことを言えなくなり、そのうち失敗を隠すようになります。
上司は事実確認のため、再確認のために行っているかもしれませんが、言葉選びを工夫して部下が説明できる心の余裕を残してあげることが大切です。
曖昧で中途半端な励まし
2つ目は、「まあまあ、どんまい!次頑張れば大丈夫だから!」と、部下の落ち込みを流して具体策な問題点に触れずに終わらせる対応です。
部下は「何も解決していないのにどう頑張ればいいの?」と逆に不安になってしまいます。
上司は良かれと思って励ましても、それが事実から目を逸らすように促してしまうこともあります。
問題点に部下の意識が向くような言葉がけが上司には求められます。
問題に向き合うことで、次から注意すべきこともわかって安心できます。
失敗から立ち直る力『レジリエンス』とは
レジリエンスとは、衝撃を受けても折れない『固い金属のような強さ』ではありません。
風にしなって倒れても、すぐ元の位置に戻る『竹のような回復力』のことです。
誰にでも失敗をして落ち込むことはありますが、そこからどう早く立ち直るかが重要で、そのための力がレジリエンスと言えます。
失敗という出来事そのものは変えられませんが、受け止め方が変われば感情・行動が変わります。
上司が「なぜ失敗したんだ!」と追及すると、部下は「自分はダメだ(人格否定)」と解釈します。
一方で、上司が「起きた事象」と「部下の人格」を切り離す声掛けをすることで、部下のレジリエンスを高めることができます。
感情と事実を分けるための上司からの声かけ
先ほども話したように、「なんで失敗したの?」や「まあまあ、どんまい!」といった声かけは部下の立ち直りには結びつきません。
以下のように、事実と感情を切り離すことを促す声かけがリーダーには求められます。
部下:「自分の不注意で失敗してしまいました。」
上司:「落ち込む気持ちはわかるけど、自分を責めるのは一度横に置こう。
まずは『何が起きたか』という事実だけ一緒に整理しよう?」
感情論ではなく手続きに
失敗をした直後の部下は、「罪悪感」「恐怖」「焦り」といった感情で脳がいっぱいになっています。
この状態で「どうして失敗したの?」と感情的に詰めても、部下は「自分の不注意です」「次は気をつけます」という反省のフリしかできません。
だからこそ、感情の波を鎮めるために「淡々とシートを埋めるような作業(手続き)」に落とし込む必要があります。
振り返りを3ステップに分けて考えてみましょう。
ステップ①:感情・主観を排除し、起きた事実を整理する
❌:自分がうっかりしていて、顧客を怒らせてしまった
⭕️:同時に取り組んでいた仕事に集中するあまり、連絡するのを忘れて顧客を怒らせてしまった
ポイント:感情(反省)ではなく、「事実」だけを整理させる
ステップ②:今回の失敗から得られたデータを抽出する
❌:確認を怠る怠惰な性格が原因
⭕️:締め切りが迫っており、時間的余裕がなかったため、ダブルチェックをスルーしてしまった
ポイント:人格否定ではなく、手順やチェック体制などどのシステムにバグがあったかをデータとして抽出させる
ステップ③:次試す防止策に落とし込む
❌:次はもっと気を引き締めて行動する
⭕️:送る前にリマインダーをセットする
ポイント:精神論の反省ではなく、「具体的な1つの行動変更」に着地させる
上司のスタンス
上司が「失敗=損失」と捉えていると、部下にプレッシャーが伝わります。
上司自身が「失敗=システム改善のためのデータ収集」と捉える姿勢を示すことが重要です。
失敗をゼロにすることは不可能ですが、立ち直りを速めることで失敗を挽回する機会を作ることはできます。
リーダーの役割は「失敗させないこと」ではなく、「安心して失敗から学べる環境を作ること」です。
失敗した部下に必要なのは、お咎めや気休めの言葉ではありません。失敗しても、次に生かすことができるという確信です。
リーダーの感情と事実を切り離す声かけが部下のレジリエンスを育てていくのです。
| ■社長ブログの人気記事一覧 | ■人的資本経営の記事 | ■心理的資本の記事 |










