自己効力感を高めるフィードバック

部下のことを褒めて伸ばそうと思うけど、ぬるま湯に浸かってしまうだけで、うまくいかない」「ただのお世辞になって響かない」という経験はありませんか?
ただ褒めるだけでは効果はありません。
今回は心理的資本の1つである「自己効力感」を高めるフィードバックについてお伝えしようと思います。

部下を育てるアプローチ方法とは

部下が成果を上げた時に、ただ「すごいね」と褒めるのはリーダーの主観的な感想を伝えているだけです。
これだと、部下は失敗したときに、評価が下がることを恐れ、挑戦をすることに躊躇しるようになり、自己効力感が育つ機会を逃してしまいます。

部下が挑戦をして自己効力感を高める機会を得ることができるようにするためには、上司が部下の鏡となって、「客観的な事実」を伝えることが必要となります。
具体的には、成果を評価するのではなく、行動やプロセスを評価するのです。

これにより、部下は「この行動をしたからこの成果が出た」という因果関係を理解し、「次も自分の力で再現できる!」という本物の自信を手に入れることができます。
これが自己効力感を高めるフィードバックというアプローチ方法です。

「称賛」と「フィードバック」の違い

自己効力感を高めるフィードバックについて、より理解を深めていただくために「称賛」と「フィードバック」の違いを表で見ていきましょう!

項目 ただの称賛(褒める) 自己効力感を高めるフィードバック
焦点(どこを見るか) 結果や能力(主観) 行動やプロセス(事実)
リーダーの言葉の例 「すごいね!」「さすが優秀だね!」 「◯◯という工夫がこの成果に繋がったね!」
部下の脳内の受け止め方 「評価された」(他人軸) 「自分の行動で成果変えられた」(自分軸)
心理学的な効果 依存心の助長
(また褒められたい、失敗して幻滅されたくない)
内的帰属、自己効力感
(次もこのやり方でやればできる)
その後の行動変化 次の失敗を恐れて、無難な仕事を選ぶ(守り) 「次も工夫して挑戦しよう」と思える(攻め)

フィードバックの3つの型

今からすぐにフィードバックを実践できるように、構成要素をお伝えします。

①行動(事実):「◯◯さんが、会議の前にアジェンダを全員に共有してくれたよね」
②根拠(影響):「それによって、議論が15分も短縮できて、みんなの目線が最初から揃ったよ」
③再現性(期待):「あの事前準備スキルは、次の大きなプロジェクトでも絶対に活きると思うよ」

褒めるだけでなく、成果の根拠をセットで伝えることで、部下の脳内に「根拠のある自信(自己効力感)」が育ちます。

なぜ「結果」ではなく「プロセス(努力や工夫)」に焦点を当てるのか

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授が子どもたちに行った有名な実験があります。
これは、テストを終えた子どもたちを以下に2つのグループに分けて声をかけ、その後に「次は『絶対に解ける簡単な問題』と『難しいけれど勉強になる問題』のどちらに挑戦したい?」と選ばせるというものです。

Aグループ(能力、結果を褒める):「90点も取れたの?やっぱり頭がいいね!」
Bグループ(プロセス、努力を褒める):「90点も取れたの?最後まで諦めずに、良く工夫して頑張ったね!」

<結果>
Aグループ:大半が簡単な問題を選びました。
「難しい問題に挑戦して、点数が下がったら『頭が悪い』と思われてしまう」恐怖を感じ、守りに入ってしまったのです。
Bグループ:9割近くが難しい問題を選びました。
「次も工夫すれば、もっと成長できる」と考え、失敗を恐れずに攻めの姿勢を取ったのです。

これは、ビジネス現場のマネジメントにおいても全く同じことが言えます。
例えば、目標を達成した部下に対して、

❌「今月も目標達成、さすがエース!センスあるね」(能力・結果を褒める)
⭕「過去の失注データを分析して、アプローチを変えた工夫が今回の受注に繋がったね」(プロセスをフィードバックする)

前者の声をかけられた部下は、来月達成できなかったらエースから転落するという恐怖(守り)を抱きます。
しかし後者であれば、「次もあの分析と工夫をすれば、新しい案件もいけるぞ!」と、折れない自信(自己効力感)を持つことができるのです。

リーダーの声掛けで主体性のあるチームを作る

今のビジネスの現場で生き残るためには、「言われたことだけをこなす優秀な部下」ではなく、「自分で考えてリスクに挑む主体性のある(自己効力感が高い)人材」です。その主体性を引き出せるかどうかは、リーダーの「声掛け一つ」にかかっています。

今日から「褒める」から「事実をフィードバックする」に切り替えてみてください。
そして違ったアプローチを続ける中で、部下の表情やあなたへの関わり方が変化するのを観察してみてください。
部下の様子を見ていると、あなた自身も上司としての関わり方に自信が持てるようになります。

「自己効力感を高めるフィードバック」を継続して行うと、部下の自己効力感を高めるだけでなく、上司としての自分の自己効力感の向上につながるでしょう。

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