厳しい状況や失敗に直面した時、チームの雰囲気を暗くせずに、乗り越えられるリーダーに必要な力は何なのでしょうか?
今回の記事では心理的資本HEROの最後の一つ、『Optimism(楽観性)』についてみていきましょう!
楽観性と聞いて、「なんでもポジティブに捉えればいい」と考える人も少なくないでしょう。
しかし、Optimism(楽観性)はただのポジティブ思考である楽天主義とは違うのです!
成果を求めて行動をしている時、どうしてもそこに成功か失敗かという結果が付きまといます。
そして常に成功し続けることができるわけではありません。
だからこそ、失敗をした時にそれをどう評価するかが、自分の次の行動に影響を与えます。
心理的資本の1つの楽観性とはどのようなものなのか。
今回はそれを説明したいと思います。
楽天主義と楽観性の違い
| 楽天主義 | 楽観性 | |
| 現状の捉え方 | 現実逃避
「大したことないでしょ」「なんとかなる」とリスクから目を背ける |
現実直視
「現状はかなり厳しい」「トラブルが発生した」と事実を正視する |
| 思考のメカニズム | 他力本願・祈り
「誰かが解決してくれる」「時間が解決する」と受動的に期待する |
主体性・コントロール
「自分の行動と工夫(打ち手)で未来は変えられる」と信じる |
| トラブル時の捉え方 | 放置・楽観視
「まあ、次頑張ればいいか」と原因分析をせずに流す |
原因の限定化(一時的・局所的)
「今回の『やり方』に問題があっただけ。修正すればいける」 |
| もたらす行動 | 無対策・油断
準備不足のまま突き進み、壁もぶつかるとパニックになる |
複数ルートの実行(行動力)
最悪の事態も想定(プランBも用意)しながら、前進し続ける |
つまり楽観性とは、現実から逃げることではなく「現実を直視した上で、どう前進するかを考える技術」なのです。
では、なぜ同じ壁にぶつかっても、悲観的にならずに前を向ける人がいるのでしょうか?
その秘密は、トラブルが起きた時の「考え方」にあります。
心理学者マーティン・セリグマンの「説明スタイル(Explanatory Style)」
「説明スタイル(Explanatory Style)」とは、「人はトラブルや悪い出来事が起きた時、その原因をどう自分に説明する(思い込む)か」という認知のクセのことです。
セリグマン教授は、この「自分への説明の仕方」には3つの要素(次元)があり、その組み合わせによって人が「楽観的(折れない)」になるか「悲観的(絶望する)」になるかが決まることを突き止めました。
その3つの要素について、一つずつ説明します。
説明スタイル3つの要素
① 永続性:いつまで続くか
悪い出来事が起きた時、それが「ずっと続く」と考えるか、「今だけ」と考えるか。
② 普遍性:どこまで影響するか
1つの失敗が起きた時、それが「自分のすべて」に影響すると考えるか、「一部だけ」と考えるか。
③内在性:原因はどこにあるか
失敗の原因を「自分の変えられない才能・人格」に求めるか、「変えられる行動・仕組み」に求めるか。
悲観的と楽観的の違い
| 悲観的な捉え方 | 楽観的な捉え方(心理的資本) | |
| ①永続性 | 永続的(ずっと続く)
「もうずっとこのままだ」 |
一時的(いまだけ)
「今回は準備期間が短かっただけだ」 |
| ②普遍性 | 普遍的(全部ダメ)
「今回の失敗で、自分のキャリアの全てが終わった」 |
限定的(これだけ)
「この施策はダメだったが、他の施策は機能している」 |
| ③内在性 | 内在的(自分が悪い)
「自分が鈍臭いからだ」 |
外在的/構造的(要因の分解)
「プロセスのこの部分に問題があった」 |
悲観的な人は「自分の才能のせい(変えられないもの)」にして絶望しますが、楽観的な人は「今回のやり方のせい(変えられるもの)」と捉えます。
失敗の原因を「今回だけ・ここだけ」と限定して小さく分解して捉えるからこそ、人は「じゃあ次はここを変えてみよう!」と前を向いて行動できるのです。
悲観的と楽観的の違い
これまでお話ししたように、楽観性は単なるポジティブ思考ではありません。
現実を受け止めた上で、原因を細かく分解して捉え、コントロールできることとして次に生かす考え方です。
楽観性は持って生まれたものではなく、思考のクセなので意識することで、養うことができます。
楽観性を養う方法は、自分の思考を鍛えるトレーニングを行うことです。
その方法は、失敗をした時に永続性、普遍性、内在性に分けて状況を書き出して思考を整理することです。
これを繰り返すことによって、物事をこの3点で評価する習慣が身に付き、楽観性が養われるのです。
まずは、失敗した時に、「自分がダメだ」と責めるのではなく、「今回の手順で、改善できる作業の1つはどこか」を紙に書き出すことから始めてみませんか?
小さな思考の切り替えがあなたとチームを前進させる起爆剤となるはずです。
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