企業とマタハラ

ハラスメントの多くは、気が付かない間にいつの間にか加害者としてハラスメントをしてしまっていることも多く、訴えられて初めて重大さに気づくケースもあります。
今回の記事では、数多くあるハラスメントの中からマタニティハラスメント・パタニティハラスメントを紹介し解説していくとともにその対策のポイントをお伝えします。

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マタニティハラスメントとパタニティハラスメントとは

一般的に、妊娠・出産、育児休業を取得した女性社員への身体的・精神的な嫌がらせや解雇、降格・減給などの不当な扱いは「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」と呼ばれています。
一方、育児休業制度などを利用しようとする男性社員への嫌がらせ・不当な扱いは「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)」と呼ばれます。

マタニティ・ハラスメント(マタハラ)は、女性の妊娠、出産、子育てをきっかけとして行われる嫌がらせや不利益な取り扱いです。
パタニティ・ハラスメント(パタハラ)は、英語で父性を表すPaternityと、嫌がらせを意味するharassmentを組み合わせた和製英語です。

ハラスメントの定義

ハラスメントとは、もともと英語であり、「harass」や「harassment」という単語です。
「harass」とは、悩ます、困らせる、苦しめるなどの意味を持つ動詞です。
そして、「harassment」は、いじめや嫌がらせといった意味の名詞となっています。

ハラスメントとは、人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を指します。
具体的には、属性や人格に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけることです。
ハラスメントにはさまざまな種類があり、実に39種類もあります。

ハラスメントの判断基準

  • 言動が、従業員を育てる目的で行われたものか、それとも嫌悪の感情や退職に追い込む目的によるものか。
  • 言動の内容が業務の改善のために合理的なものか。
  • 言動の内容に被害者に対する人格的な攻撃を含んでいるかどうか。

妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの定義

「職場」において上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることをいいます。
これらは、マタニティハラスメント(マタハラ=女性に対する行為)、パタニティハラスメント(パタハラ=男性に対する行為)、ケアハラスメント(ケアハラ)と言われることもあります。

妊娠・育児・出産等ハラスメントに該当しない例

「業務上必要な言動」はハラスメントに該当しません。
ただし、労働者の意を汲まない一方的な通告はハラスメントとなる可能性があります。
具体的には以下の2つです。

・制度等の利用を希望する労働者に対して、業務上の必要性により変更の依頼や相談をすることは、強要しない場合に限りハラスメントに該当しません。

・妊婦本人はこれまで通り勤務を続けたいという意欲がある場合であっても、客観的に見て妊婦の体調が悪い場合に、業務量の削減や業務内容の変更等を打診することは、業務上の必要性に基づく言動となり、ハラスメントには該当しません。

ハラスメントを受けた時の対処策

・はっきりと意思を伝える

ハラスメントは、受け流しているだけでは状況は改善されません。
「やめてください」「私はイヤです」と、あなたの意志を伝えましょう。
黙って我慢していると事態をさらに悪化させてしまうことがあります。
問題を解決していくことが、同じように悩んでいる他の人を救うことにもつながります。

・相談窓口に相談する

ハラスメントは、個人の問題ではなく会社の問題です。
会社の人事労務などの相談担当者や信頼できる上司に相談しましょう。労働組合に相談する方法も検討されてみてください。
社内に相談相手がいないときも、ひとりで悩まずに、都道府県労働局など外部の機関に相談しましょう。

マタハラ、パタハラを予防するハラスメントリテラシーの共有

職場全体で労働・労務の正しい知識を持ち、ハラスメントリテラシーを共通認識とすることで、快適な雇用環境を作り出すことは重要です。
一人一人の社員を守ることと比例して、社員自らも自分がハラスメントをしない、受けない対策が必要となります。
当社では、安心して働くことのできる職場環境作りを進める担い手となる人材を育成し、社員の働きがいを守る1つの手段として「雇用クリーンプランナー」の資格普及を行っています。

一般社団法人 クレア人材育英協会が事業運営する『雇用クリーンプランナー』は、労働法、労務、ハラスメントリテラシーを学習して、企業内での労働トラブルやハラスメントトラブルを未然に予防するための資格です。
マタハラもパタハラも企業の中では何気ない言動によって生じる恐れがあるハラスメントです。
そのようなハラスメントを予防するためには、ハラスメントリテラシーの共有によって不適切な言動が起きる可能性を減らしていくことが望ましいと言えます。

雇用クリーンプランナーは、企業の中で人事の仕事をしている方、ハラスメント相談窓口を担う方が持っておくことが望ましい資格ではありますが、それだけではなく社内で1人でも多くの人が取得することによって職場にハラスメントリテラシーの共有によるハラスメントの予防作用を働かすことができる効果もあります。

マタハラとパタハラのない職場を作るために職場全体でハラスメントリテラシーを共有するという方向性も考えて頂ければと思います。
その手段としてまずは管理職の方から雇用クリーンプランナーの取得に取り組んでみませんか?

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