ハラスメント対策3

ハラスメントのない職場を実現する予防と防止

従業員の人数が増えるほど経営者には危機管理の必要性も増えていきますが、ハラスメントに対する危機管理もその1つです。
ただハラスメントに対する危機管理の難しさは、何を持ってハラスメントと考えるかが人によって違うところがあるため、自分の言動がハラスメントに当たらないと思っている人が行った行動が、誰かにとってはハラスメントと感じられて事案が発生するという点が危機管理が難しくしています。
具体的には、ハラスメント事案が発生するパターンを分類すると下記のように分けることができます。

  1. 行為者は自分の言動が不適切だと理解していて、被害者と第三者もハラスメントと感じる行為
  2. 行為者と被害者には自覚がないが、第三者が見るとハラスメントと感じられる行為
  3. 行為者には自覚がないが、被害者も第三者もハラスメントと認める行為
  4. 被害者はハラスメントを受けたと感じているが、行為者や第三者からはそう感じられない行為

ハラスメントのない職場づくりを難しくしているのは、1〜4のケースにそれぞれの課題があるからです。
ハラスメントのない職場を作っていくためにはハラスメントに対する予防と防止が必要になります。

ハラスメントの予防とは、ハラスメントが起きることを未然に防ぐことであり、防止とは発生しているハラスメントを治め、ハラスメントによって生じた問題に対処することです。
これから説明する内容は、予防と防止を組み合わせたものになっているので、上記の違いを意識して読んで頂ければと思います。

誰もがハラスメントと認める行為とその課題

職場で誰もがハラスメントだと認める行為があったとしても、ハラスメントを無くすためにどのように行動すれば良いのかわからないという対策が組織内で周知されていない場合や対策が周知されていてもハラスメントがあることを通報することへの心理的ハードルが高い場合は、ハラスメントがなくなりません。
このようなケースはとても危険な状態だと言えます。
はっきりとしたハラスメントが起きている状態だと言えるので、防止としての対策を講じる必要があるケースです。

ハラスメントを受けている被害者の心身の健康が脅かされ続ける、ハラスメントを見ている労働者も不快感や不安を感じている、労働者が同期時に退職する可能性がある、管理職の適性のない人が管理職を続けるということ、労働者の企業への信頼や企業の社会的イメージが損なわれる、など、さまざまなリスクを抱え続けている状態です。

このようなケースは、企業がハラスメントがあることを通報することに対する心理的ハードルを下げる対策を行わなければなりません。
そうすることによって大きな問題になる前に企業が対応して、ハラスメントの被害者を守るだけでなく、行為者の改善を促すことも可能になり、安心と安全が感じられる職場を維持することができるでしょう。

ハラスメントではないかと感じられる行為とその課題

ハラスメントは、被害者が“嫌がらせ”、“いじめ”、“暴言や暴力”などと感じられる行為ですが、ハラスメントだと思われる行為を見せられた人にとっても不快なものであり、職場の安全性が損なわれるものです。
そのため、ハラスメントの行為者と被害者が無自覚であっても第三者からの通報があれば、企業は適切な対応をすることが求められます。
第三者だけがハラスメントだと感じている段階は、被害者だと自覚している人がいる状態ではないため予防としての側面が強い対策が必要だと言えます。

このようなケースは、第三者が通報しやすい対策が行われていること、通報があった場合に行為者と被害者にそれぞれ話を聴いて同じようなことが無いように行為者の行動を改めさせることと被害者のストレス状態の把握と対応を行うことが必要だと言えます。

ハラスメントをしている自覚がない管理職とその課題

ハラスメントをしている管理職は、自分の行為がハラスメントではなく職務上必要な行為をしている場合は、被害者と第三者が通報しやすい対策が周知されている必要があります。
ハラスメントをしている自覚がない人は、言動の意図は相手の成長を考えていたり、問題の改善を求めていて、仕事として結果が示されたら同じような言動を取らないということもあります。
このケースは、行為者だけにハラスメントだという自覚がない状態なので、防止対策を行うことになります。

企業は通報を受けた時点で行為者に対して適切な指導を行えば行動が改善されるケースも少なくありません。
ハラスメントの通報は、被害者や第三者が、行為者に罰を求めるものだという認識ではなく、企業の環境改善をお願いする行為だという認識を持ってもらうことがハラスメント早い段階で防いでいくことにつながります。

被害者だけがハラスメントだと感じている行為とその課題

これは、ある意味対応が難しいケースだと言えます。
このような状態が発生するには、被害者がハラスメントを受けたと声を上げている、もしくは声を上げようと考えている段階です。
しかし、被害者が行為者だと思っている人も第三者もハラスメントが起きている自覚はありません。
このような場合は、ハラスメントだという声が上がった段階と声を上げようとしている段階で有効な対策は違います。
このケースは、状況によって予防と防止の対策の両方が必要となります。

まず、ハラスメントだという声が上がった段階では、被害者の話をよく聴いて話の内容に合わせた対策が必要となります。
場合によっては行為者と話をする必要があり、行為者の行動の変化で被害者の認識が変わるなら防止対策と言えるでしょう。
行為者の行為に問題が感じられない場合は、被害者とよく話をして受けている行為は職務上必要な指導であることを認識してもらう必要があるので、この場合は予防としての対策だと言えます。

ハラスメントを予防するための企業研修

組織の中で人と人が交流をしながら目的達成のために職務を遂行していくためには、成長や改善を促すための指導、意見の違いから生じる対立などの労働者同士の摩擦というのは起きてしまいます。
そのような摩擦は職務の遂行のためには必要であり、当事者同士が相手の人格や尊厳を尊重しながら行っているものであればハラスメントではありません。
また職務の遂行だけでなく、男女間のコミュニケーション、労働者同士のプライベートも含む交流なども考えると、さまざまな摩擦が起きる可能性があるのですが、それらの摩擦も当事者同士が相手の人格や尊厳を尊重し合っていればハラスメントとして問題化することはないでしょう。

そう考えると企業は、労働者同士の摩擦が生じることを前提としてハラスメントに対する対策を行うことが求められ、そのために組織内でハラスメントに関する共通理解を高めることが必要になります。

ハラスメントに関する共通理解とは、どのような行為がハラスメントにあたるのか、どのような行為はハラスメントではないのか、またハラスメントをうけたと感じた時や自分の行為はハラスメントかも知れないと感じた時、ハラスメントだと感じる行為を確認した時はどのようにすればいいのか、職場が労働者を守ろうという意識があることなどを全従業員が認識していることです。

そして共通理解を一斉に高めることができる方法がハラスメントの予防と防止のための企業研修です。
当社では、企業向けのハラスメント対策の研修を行っています。
ハラスメント全般に関する研修から、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントなど、テーマ別の研修を行うことも可能です。
従業員が安心して働ける職場づくり、問題を出来るだけ小さい段階で解決できる職場づくりを求めておられるなら、私達がお力になれると思います。

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