ハラスメント対策3

ハラスメントが人生を狂わせる

約5年ほど前から「管理職になったのでハラスメントを起こさないためのメンタルコントロールを身につけるためカウンセリングを受けたい」という依頼が入るようになりました。
また、会社でハラスメントをしてしまった人が、「2度とハラスメントを起こさないように会社からでカウンセリングを受けることを提案された」という方もカウンセリングを受けに来られるようになりました。
これは社会の変化が表れている現象だと感じています。

パワハラ、セクハラ、マタハラなどは企業にとって経営のリスクになる時代になっていますが、個人にとっても会社員人生を左右するだけのリスクです。
それに気づいて自らハラスメントを予防するためにカウンセリングを希望する人とハラスメントが大きなリスクだと気付いている経営者から提案されてカウンセリングを受けに来ている方が増えているというのがここ数年の傾向なのです。

ハラスメントとは何か

ハラスメントとは、人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為のことを指します。
具体的に説明すると「相手の属性や人格に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけること」です。
そしてハラスメントは、職場、家庭、学校、友人関係などさまざまな環境の人間関係の中で起こります。

企業のハラスメント対策の取り組み

2022年4月に「パワハラ防止法」と呼ばれている労働施策総合推進法によって中小企業に職場のハラスメント防止対策を行うことが義務化され、それよりも前に義務化されていた大企業を含めた全ての企業でハラスメント対策が義務化されるようになりました。
この流れは企業だけでなくそこで働く人にとっても重要な変化です。

ハラスメント対策は権限のある人から取り組め!

大企業にハラスメント対策が義務付けられたのが2020年6月です。
そのころから企業がハラスメントを行った社員にカウンセリングを提案することが増えていることが当社に相談に依頼が増えていることから感じられます。
個人でハラスメント対策の予防として相談に来る人が出てきたのはその数年前なので、このことから時代の流れを読んで前もって動き始めた優秀な人もおられます。
実際に自ら予防としてカウンセリングに来られた数名の方は、その方達が所属されている会社では異例の若さで出世している方達でした。
その方達は4、5年前の段階で「ハラスメントをしないように準備をしておくことはこれからの管理職には必須の防衛対策だ」というようなことを仰っていたのを覚えています。

私は、その方達が自分の持っている権限の大きさを自覚していて、それがあるからこそ不適切な言動が部下に大きなダメージを与えるし、その結果として部下にも企業にも迷惑をかけること、そして自分の人生を一変させてしまうことを理解しておられると感じながらカウンセリングを行っていました。

中小企業のハラスメント予防の意識

2024年の段階では、大企業やそこに務める管理職の方に比べ、中小企業やそこの管理職の方はハラスメント対策に対する意識が弱い傾向があると感じていました。
実際にハラスメントを受けて相談に来られる方の話からは、中小企業では管理職がハラスメントの元凶だということが良くわかりました。
中小企業では、ハラスメント以外にも時代の流れに乗れていない企業運営が残っていて、それを従業員に従わせるためにハラスメントとなる行為が行われていたり、セクハラに悩む従業員に対する対応もお粗末なものが多いと感じられる話を聴くことが多かったのです。もちろん、私が把握しているのはカウンセリングに来られる方から聴ける話なので、中小企業の中でもハラスメント対策に積極的に取り組んでおられる会社もあるでしょう。
弊社の法人契約を結んで頂いている企業様はハラスメント対策に力を入れておられます。

ハラスメントを予防できる人が持っている意識

現在企業もそこで働く個人にもハラスメントを予防するという意識が求められる時代です。
ハラスメント対策は企業としても個人としても取り組みが必要ですが、ハラスメントは個人の言動によって起こります。
そしてその個人の言動が抑制されずに社内に蔓延すると企業にハラスメント体質が定着してしまいます。
上記で取り上げた自らハラスメントの予防に取り組み始めた優秀な管理職の方達は、ハラスメントを予防するためには個人レベルで予防するための意識を高めていく必要があることに気づいておられました。
そして「ハラスメントリテラシー」を高める取り組みとしてカウンセリングを受けていたのです。

ハラスメントリテラシーとは、ハラスメントに対する理解と理解を実行に移す力です。
これがハラスメントを予防できる人が持っている力であり、経営者や管理職といった大きな権限を持っている人から末端の従業員まで身につけることが求められているものです。

ハラスメントリテラシーと危機管理能力

ハラスメントリテラシーを身につけるということは、危機管理能力を身につけるということでもあります。
経営者や管理職などの大きな権限を持っている人ほど、組織レベルとしての危機管理能力の向上と個人としての危機管理能力の向上につながります。
ハラスメントを生まない環境作り、ハラスメントが起きた時の対応力、自らがハラスメントを行わないための防止策としてハラスメントリテラシーが機能するのです。
まだ権限が小さな従業員の場合は、ハラスメントリテラシーを持つことが、ハラスメントを受けない、またはハラスメントに抵抗するための自己防衛につながると言えます。

ハラスメントリテラシーの高め方

ハラスメントリテラシーがハラスメントから企業や個人を守る危機管理能力になるのなら、これを身につけるためには何をすればいいのでしょうか。
それは、ハラスメント対策の実施に伴う社内での意思表示と啓発、ハラスメント研修による意識の向上、定期的な従業員のヒアリングなどです。
組織としてのハラスメントリテラシーは急に高まるものではなく、企業という環境の中でハラスメントを許さないという意識が広まり、それが少しずつ定着していくという形で高まっていきます。
企業はそのための対策をいち早く行うことが望ましいと言えるでしょう。個人としては、企業の中で行われる対策に準じながらハラスメントリテラシーが高まっていくことを待つのではなく、自ら高めるという取り組みを行うこともできます。
その1つがカウンセリングを受けて自分の中にあるハラスメントが起きる要因を見つめたり、言動を改善したり、知識を高めることです。
そしてもう1つの方法が「労働トラブル相談士」という資格取得に挑戦することです。
「労働トラブル相談士」は、企業内の労働トラブルとハラスメントの予防と対策を担える知識を身につけることができる資格です。

この講座を受けることは、自分のハラスメントリテラシーを高めるだけでなく、資格という客観的に専門性の高さを表すことができるものを得ることができるというメリットがあります。
現在は、この資格を従業員に取ってもらおうと企業が主導で進めているケースもありますが、個人で申込受講することも可能です。
詳しくは下記のリンクから「労働トラブル相談士」とは何かを確認してみて下さい。
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