ハラスメント8

パワーハラスメントを生みやすい環境と中間管理職の心理状態

今回の記事は、パワハラを行いやすい環境と中間管理職の心理状態の関係を知り、事前にパワハラを予防することにつなげようというテーマですが、記事を読む前に認識して頂きたいことがあります。
パワハラの発生は、上層部の管理職や中間管理職など一定の権限を持った人の人間性が原因の大半を占める場合もありますが、一定の心理的安全性がある環境であればパワハラをする可能性が低い人であってもストレスレベルの増加によって生じてしまう言動により結果的にパワハラを行ってしまうこともあります。
企業とっては、生じさせないことが可能なパワハラを予防していくことが効果的なハラスメント対策を行うための条件だと言えるので、そのためにはどのようなことは何かをこの記事から知って頂ければと思います。

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ハラスメントが起きやすい職場環境とは

下記のような状態が該当する職場環境では中間管理職のストレスレベルは高まり、パワハラが発生するリスクも高まります。

  • 上層部のパワハラで中間管理職がストレスを抱えている
  • 会社の方針や上層部の支持と現場の実状が乖離している
  • 十分な休養ができないほどの負荷が中間管理職に集中している

パワハラは、中間管理職の性格的要因によって起こる場合も多いですが、その要因が大きくない人でも環境から受ける刺激によっては発生するリスクが高まります。
上記の3つのパターンは、特定の人にだけ起こる問題ではないので企業は個人の心掛けだけを頼りにパワハラの予防を求めるのではなく、環境改善という形で予防を考えていく必要があるのです。
以下では3つのパワハラが起きやすい中間管理職の心理状態を引き起こさないための企業の取り組みについて説明しています。

中間管理職のストレスレベルと企業の健全性

管理職、その中でも特に中間管理職はストレスレベルが高くなります。
中間管理職の心理的な健康状態は、その企業が健全なマネジメントを行っているかどうかを図る指標にもなります。
なぜなら、会社の上層部と現場の従業員との間でミドルマネジメントを行う人材であるため、中間管理職の心理的な健康状態は上層部との関係性や上層部のマネジメントの質の影響を受けるからです。
上層部から受けるストレスが大きいと中間管理職のストレスレベルも高くなり、その影響が現場の従業員に対するマネジメントに現れます。

職場環境の劣悪さが表れているパワハラの連鎖

中間管理職は、会社の方針や上層部からの支持を現場の従業員に浸透させる役割を担っているため職場内で生じる葛藤を受け止めなければならない場面も多くなります。
通常の業務の中で必要な範囲のコミュニケーションによって生じるストレスがあるのは仕方がないことですが、不健全な企業ではパワハラの連鎖が見受けられます。

適切な仕事上のコミュニケーションがなされている場合でも、上層部と現場との間で調整を図ることに気を配らなければならない中間管理職が抱えるストレスはある程度高いと言えますが、上層部の言動がパワハラだと言えるようなものであった場合は一気にストレスレベルが高くなります。
上層部から中間管理職に対するパワハラが常態化している環境だと、中間管理職の中には部下に対する不適切な言動を行うことのハードルが下がってしまい中間管理職から現場の従業員へのパワハラも生じやすくなります。

また、現場の部下の声にも耳を傾ける必要がありますが、会社の方針や上層部の支持と現場の実状に乖離があると部下の間に挟まれて葛藤が生じるためストレスレベルが上がってしまいます。
このような状態の中では、上層部よりも現場の従業員の言い分を抑え込むことの方が可能だと感じ、中間管理職から現場の従業員への威圧的な態度が生じやすくなりパワハラが発生してしまいます。
自分のストレスレベルが高くても決して部下への横暴、横柄な態度をとらない人もいますが、そのような人達はストレスで心身が疲弊してしまいうつ状態や適応障害といった精神的に悩まされるということも起こります。

もう1つパワハラの連鎖が起きやすい原因は、中間管理職に多くの負荷が集中してストレスレベルが上がっている時です。
このような場合もストレスで攻撃的な心理状態になり、それを抑制する脳の働きは低下するためパワハラに該当するような言動が生じやすくなります。
十分な休養が取れていない中で健全な脳の働きを維持することは難しいため、ハラスメントの発生リスクは上がるのです。

企業は、組織内にパワハラの連鎖ではなく健全なマネジメントが連鎖するように環境の整備を行っていくことが求められます。
そのためには中間管理職から適切な職場の状態をリサーチできる仕組みが必要となります。
リサーチすることによってこの組織では中間管理職に負荷を与えているストレス原因が何かを明確にして、状況にあった対策をすることがパワハラ対策の第一歩です。

中間管理職のストレスケアと情報収集

厚労省はハラスメント対策を義務付け相談窓口を設置することを求めていますが、パワハラに至る前の状態である中間管理職のストレスレベルが上がる原因が発生している時に相談できる環境が企業の中には必要だと考えています。
なぜなら、その段階で相談ができることは中間管理職の心身の健康レベルが低下する前に原因に対してアプローチができるようになること、そして企業の心理的安全性を保てることにもつながるからです。

方法としては定期的に中間管理職のヒアリングを行うという形で良いかと思います。
従業員数の多い企業であれば人事部がそれを行うことができると思いますが、中小企業の場合は直属の上司だと話にくいこともあると思うので別の部署の上司に相談できるという仕組みを作るという手もあるかと思います。

中間管理職が抱える課題を解決する重要性

中間管理職が抱えている課題は企業全体につながる課題だといっても過言ではありません。
ハラスメントの連鎖という視点で見た場合には、現時点で起きているパワハラを止めること、そして未来のパワハラが起きる可能性をつぶすことにつながります。
ストレスケアという点から見た場合は、中間管理職の健康度合いが上がるということは能力を発揮しやすくなるので、組織の生産性の向上につながります。
さらにストレス過多によって中間管理職が休職や退職をするリスクを減らすことになり、人材を守ることにつながります。
このような点からもパワハラが生じる前の段階で中間管理職が抱えている課題を知る機会を作ることが必要であることが明確だと思うのです。

中間管理職が相談できる人材の育成

中間管理が現状の課題を安心して相談できる環境を作るには、相談を受けるだけのスキルを要した人材の育成が必要となります。
人は相談をしたいと思っても自分が望んでいないことを言われるのではないかという不安があると1人で問題を抱え込んでしまいます。

企業が仕組みとして中間管理職が現状を報告する機会を作ることは難しくないと思いますが、その機会の中で中間管理職の人が『話を聴いてもらって良かった』、『良いアドバイスをもらうことができた』と思える体験をすることが大切です。
その体験があれば、何か課題があると感じた時に早い段階で相談をするという習慣が定着するからです。

人に話を聴いてもらったと感じてもらえるコミュニケーションスキルは、カウンセラーがカウンセリングの中で使用しているスキルでもあります。
カウンセラーほどのスキルを習得できなくても、スキルを学び意識的に使おうとするだけでもコミュニケーションの質は変わります。
それは企業内で役立てるには十分なスキルです。

当社は、企業の中で従業員の相談を受ける立場の人のコミュニケーションスキルを向上するための研修を提供しています。
カウンセリングのスキルを企業内で使って頂けるような形でお伝えしています。
従業員の多い企業ほど、相談を受けることができる人材も多く必要となるでしょう。
中間管理職のための早い段階のストレスケア、企業が抱える課題の発見、そしてパワハラ予防のために企業内で相談業務が担当できる人材を育成したいということであれば、ぜひ当社にご相談下さい。

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