カウンセリングの依頼には、経営者の方から従業員への接し方に関する相談があります。
1人の従業員に関する個別の相談を受けることもあるのですが、長い目で見た時に重要なのは、その会社の人材育成の方針であることが多いので、1人の従業員のことよりも経営者に向けた人材育成のコンサルティングとして話を聴くというケースも少なくありません。

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人材育成は子育てのように

私がよく人材育成のコンサルティングでお伝えしていることは、組織の中で人を育てるのは子育てのような意識を持って関わることが大切だということです。

『大人だからこれくらいのことはできて当然』『この程度の常識は持っていて当然』という認識で関わってしまうと、成長して欲しい人と経営者の関り方にミスマッチが起きてしまうことがあるのです。
なぜなら、本来は子育ての中で身に着けておいた方が良いことが身についていなかったり、教わった方が良いことを教わらずに大人になっている人もいるからです。

また、年齢が若い人や成功体験が少ない人の中には、能力が高くても能力を発揮するための心理的な成長が追い付いていない人もいます。
そんな人は、承認欲求が強くて、他人からの評価を得よう、目立った成果を残そう、悪い評価を受けないようにしようと、判断を間違えてしまうことがあります。

人材育成では、能力を身につけることだけでなく、能力を発揮するための心の機能を成長させることを視野に入れて関わることが必要で、そのためのアプローチが子育ての用の接するということなのです。

良い習慣の強化、悪い習慣の消去

従業員の育成は、子育てを意識して行うということは、良い習慣は強化されるように接して、悪い習慣は消去されるように接するということです。

この行動は続けた方が良いと感じたことは、しっかりと褒めたり、感謝を伝えてあげることが大切です。
止めなければならない行動に関しては、その都度しっかりと止めるべき理由を伝えること、それを根気よく改善されるまで伝え続けることが大切です。
このような関わり方は、経験の浅い人、成長が遅い人ほど必要になりますが、管理職クラスの人に対しても必要です。

誰でも褒めてもらったり、感謝されたら嬉しいので、一日の大半を費やす仕事の中で嬉しいと思える時間を提供することは経営者として意識した方が良いと考えています。
反対に、誰でも改善した方が良い行動はあるので、良くない事、不適切な事に対しては改善を求める意思表示をしっかりとした方が良いです。

どうしても改善しない人もいますが、日ごろから改善を求める意思表示をしているからこそ、相手が改善しない時の対策も打ちやすくなります。

習慣化による成長

良い行動の定着、悪い行動の消去が行われて、望ましい習慣が定着するということは、一人の人間がその職場において戦力になるということです。
仕事において戦力になるということは、その人の働きが何らかの効果を生み、支払っている給与以上の利益をもたらしてくれるようになった状態です。

企業経営をしている以上、このような人が増えることを目指してどのような習慣を身につけて欲しいのか、どんな習慣を止めて欲しいのかを意識して支持を出すと従業員も上司の指示がわかりやすいと思います。
何を習慣化することがその職場において戦力になる従業員を育てることになるのかを管理職がわかっていれば、適切な指示を出すことができるようになり、まだ未熟な従業員の成長を促せるでしょう。

愛情と関心を向けること

人材育成は子育てのように行うという意味には、従業員に愛情と関心を向けることが必要だという意味も含んでいます。
従業員と対立関係になってしまうと、その人は成長しないだけでなく、こちらが迷惑だと思うことをするようになることもあります。

まだ社会人経験が少ない人や成功体験の少ない人ほど関心を欲していて、無意識に承認欲求を満たしてもらうことを求めています。
経営者や管理職という立場の人からすると、従業員のそのような思いがわかってしまうと面倒に感じてしまうかもしれませんが、企業によってはそのような成長段階の人を採用して育てていくしかないという現状もあると思うので、根気よく愛情と関心を向けていくことが大切です。

子育ては、子供が親からの愛情と関心を求めていて、自分に愛情と関心を向けてくれる相手の言うことだからこそ聞こうと思うのです。
経営者と従業員の関係もこれと同じです。

承認欲求が満たされることで貢献する気持ちが生まれる

下記の図は、マズローの欲求5段解説を表した図です。
承認欲求が4段目にあり、その上に社会貢献欲求があります。
これは、人間は承認欲求が満たされて心が安定し、成長することで社会貢献欲求が高まることを表しているのです。

マズローの欲求の 5段階説

働く中で自分の承認欲求が満たされていくほど、職場に貢献したい、社会に貢献したいという思いが育っていきます。
そのような人材が増えると、チームが非常に良い形で機能し始めます。

従業員の承認欲求を刺激する関わり方を実践していると、社会貢献欲求が芽生えるタイミングは人によって違うということを感じると思いますが、焦らず1人ずつ導いていくことが管理職に求められる忍耐力です。
1人ずつでも変化が見られると、育成する側も手ごたえを感じられるので、従業員の社会貢献欲求が芽生えに注意を向けて育成をしてみて下さい。

まとめ

今、部下を育てる立場にいる人は、一度子育てを意識した部下への関わり方を試して欲しいと思います。
根気のいる方法かもしれませんが、少しずつ効果が出てくるのではないかと思います。

特に上記の文章を読んだ時、自分の子育ての仕方もそうだったと感じる人はスムーズに実行できるでしょう。
ただ、企業の人材育成に関わる中で、経営者の方からは、「子育てのようにと言われても、子育てをしたことがない、子育て自体が難しいと感じる」という意見を頂くこともあります。

そのため、人材育成のコンサルティングでは、経営者の方のサポートのためにコーチングを行ったり、職場に入ってOJTという形で経営者や管理職へのアドバイスや指導を受ける側の社員からのヒアリングや業務内での短いコーチングを行って、職場の育成環境を整えるお手伝いも行っています。

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