メンタルヘルス対策の1次予防

メンタルヘルス対策では、1次予防としてメンタル不調やメンタル不全を未然に防ぐという方針が示されています。
メンタル不調やメンタル不全を未然に防ぐには、その要因となるストレスが生じにくい職場を作ることが求められます。

未然防止のためには、職場環境の中で生じるストレスを0にはできないにしても、可能な限り少なくするという取り組みは必要ですが、理にかなった取り組みをするためにはメンタルの状態を悪化させるストレスには、どんなものがあるのかということを知っておく必要があります。

3つのストレス

ストレスには自覚しやすいストレスと自覚することが難しいストレスがあります。
そもそもストレスというのは、何らかの刺激(ストレッサー)を受けて、心や体の状態に負の変化が生じた状態のことです。
ただ、その状態を自覚できていない場合があるので、ストレスの影響を受けてメンタル不全という問題が生じるまで対処ができていないということが起きてしまうのです。
そのようなことが起きるのは、多くの人が下記のようにストレスには3つのタイプがあることを知らないからです。

ストレスには、精神疲労、身体的疲労、神経疲労などがあります。
それぞれは以下のような特徴があります。

精神疲労

精神的疲労とは、辛い、悲しい、腹立たしい、心地悪い、寂しいなど負の感情が生じている状態です。
感情は自覚できるので、精神的ストレスは自覚することが容易なストレスです。
ただ、負の感情を我慢しているうちに気づきにくくなってしまうことがあります。

身体疲労

身体疲労とは、ケガや肌荒れ、肉体疲労など、身体的な健康が損なわれている状態です。
これは3つのストレスの中では気づきやすいと言えます。

神経疲労

神経疲労とは、同じことを繰り返し行うことによって、脳がエネルギーを消耗して働きが低下している状態です。
これは一番気がつきにくい疲労です。

ストレスレスレベルが高い職場の特徴

仕事をする上で、上記の3つのタイプの疲労が蓄積しやすい職場は、ストレスレベルが高い職場であるということが言えますが、3つの疲労を生みやすい職場には以下のような特徴があります。

仕事量や残業が多いため、余暇の時間がなく気分転換ができない

仕事量が多い、残業で帰りがいつも遅くなる、休日出勤をしなければならないというような職場は、余暇の時間を作ることができないため神経疲労が溜まりやすいと言えます。
また、それに対する不満が高まるほど精神疲労も高くなります。

会社、部署の方針が一貫せず、上司の指示がコロコロと変わる

上司の方針がころころ変わる職場は、方針の変化が従業員の負荷につながりやすいほど、精神疲労が高まりやすいと言えます。

自分の立場に見合わない程の重い責任を負わされる

上司から責任を押し付けられ、何かあったら上司は責任を取らずに逃げてしまう職場は、従業員の精神疲労が高いと言えます。
また、上司が責任を負わないことで仕事の量が増える場合は、神経疲労や肉体疲労も増加します。

納得のいかない人事評価が行なわれている

自分が正当に評価されない職場も、評価に対する不満や今後の努力も認めてもらえるかどうかわからない不安などが生じるため、精神疲労が高くなると言えます。

ストレスの少ない職場にするために

職場には、上記の4つのストレス要因以外にもたくさんのストレス要因がありますが、まずはストレスレベルを上げやすい理由である4つの要因をなくすところから対策をすることが望ましいと言えます。

変化の見えやすい部分から対策をしていくことが、メンタル不調、メンタル不全の発生を未然に防ぐ近道です。
上記の4つのストレス要因は、仕事の仕組みや上司の裁量で生まれるものなので、管理職へのメンタルヘルスに関する教育の重要であることがわかると思います。

管理職の研修を後回しに考えておられる企業様もありますが、権限があり影響力の高い管理職から研修を行っていくことがメンタル不調、メンタル不全の未然防止につながるので、役職の高い人ほどメンタルヘルスについて学んでいただくことが組織を守ることにつながると考えていただければと思います。