企業の中でメンタルヘルス対策の1次予防2次予防をしっかりと行っていても休職しなければならなくなってしまう労働者が出てしまうことはあります。
従業員の多い職場、業務内容的にストレスレベルの高い職場、ストレス耐性の低い人が集まりやすい職場は、休職者の職場復帰という課題に頭を悩ませていることが多いと言えます。

そんな企業のためにメンタルヘルス対策には、労働者の職場復帰支援と再発防止のための3次予防という段階があります。

メンタルヘルス対策の職場復帰支援プログラムとは

メンタルヘルス対策の3次予防として、労働者の職場復帰支援というものがあります。
職場復帰というのは、休職、または退職していた人が職場に戻ることをいいます。

メンタル不全による職場からの離脱は、一度職場復帰を果たしても、再度休職するということも多いため、メンタルヘルス対策の職場復帰支援では丁寧かつ適切な復帰のプログラムが必要となります。
そのプログラムが職場復帰支援プログラムです。

企業が職場復帰支援プログラムを実践するために厚生労働省は、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」というものを作成し、職場復帰支援の方向性を示してくれています。

職場復帰を実現するための5つのステップ

職場復帰プログラムは、丁寧に適切に進めていくことが大切です。
企業で休職者が出た時、基本的には下記の5つのステップに沿って労働者の職場復帰を支援していくこととなります。

職場復帰支援の5つのステップ
  • <第1ステップ>病気休業開始及び休業中のケア
  • <第2ステップ>主治医による職場復帰可能の判断
  • <第3ステップ>職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
  • <第4ステップ>最終的な職場復帰の決定職場復帰
  • <第5ステップ>職場復帰後のフォローアップ

※厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」より引用

 

<第1ステップ>病気休業開始及び休業中のケア

労働者が、職場の管理監督者に医師からの診断書を提出して休業することになりますが、その際に社内では管理監督者は人事、労務管理のスタッフに診断書が提出されたことを連絡します。
そして、労働者には休職の手続きや職場復帰のプログラムについて説明をします。
傷病手当金、事業場内の相談先、公的または民間の職場復帰サービス、休業できる期間などについても説明が必要となります。

必要なもの

  • 労働者からの病気休業診断書の提出
  • 管理監督者と事業場内産業保健スタッフ等によるケア
  • 病気休業期間中の労働者の安心感の醸成のための対応
  • その他

<第2ステップ>主治医による職場復帰可能の判断

動労者が職場復帰をしたいと思った時、労働者は職場に復帰の意識を伝えます。
その後に職場から主治医に職場復帰の判断をするために診断書を求めます。
主治医から提出された診断書は、産業医等による精査が行われます。
職場からは、主治医に対して復帰後に労働者が職場から求められる業務遂行能力や仕事内容に関する情報を提供することも主治医の判断材料となります。

必要なもの

  • 労働者からの職場復帰の意思表示
  • 主治医への情報提供
  • 職場復帰可能の判断が記された主治医の診断書産業医等による精査

<第3ステップ>職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成

第2ステップの産業医と主治医の判断を参考に事業場内で労働者の職場復帰の可否を検討します。
職場復帰が可能と判断されれば、職場復帰支援プランの作成に入ります。
このプランは、職場復帰をスムーズかつ安全に行うための重要な指針になります。

必要なもの

  • 情報の収集と評価
  • 職場復帰の可否についての判断
  • 職場復帰支援プランの作成

<第4ステップ>最終的な職場復帰の決定

第4ステップでは、労働者の職場復帰に関して事業者による最終決定が行われて、労働者の職場復帰となります。
そのために労働者が復帰できる状態か、再発の可能性、などの最終確認が行われます。
その後、産業医等によって職場復帰後に配慮すべきことなどをまとめた意見書が作成され、最後に事業者が職場復帰を判断するという流れになります。

必要なもの

  • 労働者の状態の最終確認
  • 就業上の配慮等に関する意見書の作成
  • 事業者による最終的な職場復帰の決定
  • その他

<第5ステップ>職場復帰後のフォローアップ

最後の第5ステップは、職場復帰後であるため労働者に負荷が掛かる段階なので、慎重に取り組むことが求められます。
この段階は、再発の未然防止、不調の早期発見が必要で、労働者の状態の変化に合わせて復帰プランを確認しつつ、必要なら見直しを行い、職場環境の改善も行いながら復帰支援を進めていくことになります。

必要なもの

  • 疾患の再燃・再発、新しい問題の発生等の有無の確認
  • 勤務状況及び業務遂行能力の評価
  • 職場復帰支援プランの実施状況の確認、治療状況の確認
  • 職場復帰支援プランの評価と見直し
  • 職場環境等の改善等及び管理監督者、同僚等への配慮等

職場復帰支援プログラムにおけるカウンセラーの役割

うつ病をはじめとしたメンタル不全による休職からの職場復帰は、復帰した本人や職場の管理監督者や同僚が気を付けていても再度休職になってしまうという事例が多く、企業にとって難しい課題であると言えます。

特に再発しやすいメンタル不全は、その人の体質や性格と環境から受けるストレスの相互作用によって生じているケースが多いので、そのあたりを見極めて復帰を支援していくことが求められます。
そのため、職場復帰後は心理的なアドバイスをしてくれるカウンセラーのサポートが必要になってきます。

メンタル不全の再発を防ぐには、脳、心理、環境という3つの側面から不調に至る要因を分析して、労働者の働き方や考え方を柔軟にしたり、職場の仕組みを変えるということを行うことになるのですが、その点をサポートできる専門家がカウンセラーです。

今、企業が抱えている課題に休職者の職場復帰があるのなら一度お問い合せください。

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