心理的資本と心理的安全性は何が違うのか?
これまでは主に心理的資本について書いてきました。
この記事の前に書いた3つの記事を読んでいただければ心理的資本とは何なのかということはある程度理解していただけると思います。
ただ、その上で心理的資本は心理的安全性とは違うものだということを説明しておきたいと思います。

心理的資本と心理的安全性はなぜ混同されやすいのか

心理的資本は心理的安全性は、どちらも「人の前向きな状態」や「組織パフォーマンス向上」に関係していて、しかも近年のマネジメント論でセットのように語られることあるため混同してしまう人が多いのだと思います。
ただし、実際には対象も働き方もかなり違います。

混同されやすい主な理由を整理すると、次の5つがあります。

1. どちらも「心理」という言葉を使う

名称が似ていることが混同されやすい大きな理由でしょう。
どちらも「心理的」と付くため、同じ概念の一種だと思われやすいですが、英語の方が違うものだということがわかりやすいかもしれません。
いかがでしょうか。

心理的資本=Psychological Capital
心理的安全性=Psychological Safety

2. どちらも成果向上と結び付けられる

どちらも生産性向上、離職率低下、学習促進、エンゲージメント向上などと関連づけて説明されます。
そのため、「結局どっちも“働きやすい職場”の話では?」と理解されがちです。

3. 両方とも“ポジティブ心理学”系の文脈で語られる

心理的資本は、特にフレッド・ルーサンズらによるポジティブ心理学の流れから発展しました。
一方、心理的安全性も、「安心して発言できる環境が学習と成長を促す」という、人間の可能性を重視する流れで扱われます。
そのため、研修や人材開発でセットで取り扱われることが多いです。

心理的資本と心理的安全性の比較

では、心理的資本と心理的安全性が混同されやすい理由が整理できたところで、次はその違いを比較してみたいと思います。
比較してみると全く違うものであることが理解できると思います。

心理的資本…働く人が仕事に対して前向きな感情をもち、いきいきと働く心の力のこと
心理的安全性…挑戦したり、失敗しても攻撃されないという安心感のこと

表にするとこんな感じです。
心理的資本と心理的安全性の違い

2つの相互作用

心理的資本と心理的安全性は独立しているものではなく、お互いに影響し合いながら組織のパフォーマンスを決定付けます。
以下の表で、相互作用の4つのパターンを見ていきます。

心理的資本と心理的安全性の違いとは

①最強・挑戦チーム

心理的安全性も心理的資本も高く、思い切った挑戦をしながら経験を積むことができるので強いチームが出来上がっていきます。

②ぬるま湯・停滞チーム

心理的安全性は高いが、心理的資本は低いため、メンバーが成果を上げるためのビジョンや意欲を持って行動をしません。
そのため怠惰なチームが出来上がってしまいます。

③疲労・ギスギスチーム

心理的安全性が低く、心理的資本は高いため、成果だけを求められる空気が感じられます。
そのためメンバーがいつの間にか疲労して、ギスギスした人間関係になってしまう恐れがあります。

④無関心・諦めチーム

心理的安全性も心理的資本も低く、チーム内でお互いへの関心もなく、成果を達成するという意欲もない状態です。

強い組織は心理的資本と心理的安全性のバランスが取れている

自分が所属する組織を強いチームにするためには、心理的資本と心理的安全性のバランスが取れた状態にしていかなければなりません。

まずは心理的安全性に注目しましょう。
不安が多い状態で、人は挑戦することはできないため、心理的安全性を高めましょう。
人は「攻撃されるかも」と感じているとき、脳のパフォーマンスが著しく低下します。
そのため、「余計なことはしないでおこう」と考えるようになります。
心理的資本を高める過程で、必ず「挑戦」と「失敗」が伴います。
心理的安全性が確保されて初めて「失敗してもいいから、やってみよう」と思えるようになるのです。

心理的安全性を高めつつ、心理的資本を高める取り組みも行っていきます。
心理的安全性だけを高めると、チームは「何をしても許されるけど、誰もリスクを取らない」停滞した状態になってしまいます。
心理的安全性が整った上で、個人の心理的資本(HERO)を高める対話やワークを行うことで、メンバーは「この安全な場所で、自分は何を成し遂げたいか」を考え、自走し始めます。

相乗効果を生む「スパイラル構造」

上記で話した順番を守ることで、正のスパイラルが生まれます。
1、リーダーが心理的安全性を担保する
例:ミスを責めず、発言を歓迎する。
2、メンバーが心理的資本を発揮し始める
例:安全だからこそ、少し高い目標にも挑戦してみる。
3、小さな成功や学習が生まれる
例:挑戦した結果、うまくいったり、良い失敗のデータが取れたりする。
4、さらに心理的安全性と心理的資本が強固になる
例:挑戦を認められたことで場がさらに信頼され、個人の自信も高まる。

心理的安全性の向上は、適切な心理的資本に基づいた人材育成に取り組み下地作りとなります。
そして心理的資本が高い人材が育つほど、適切な指導、評価が行われる環境になり、心理的安全性はさらに高まります。
このような相乗効果の繰り返しが強い組織を作っていくのです。

最後に

心理的安全性で安心して働ける環境をつくり、心理的資本でモチベーションを上げる。
どちらか一方が欠けても、チームが力強く自走し、大きな成果をあげることはできません。
リーダーの役割は、心理的安全性を保ちつつ、心理的資本の高い人材を育成していくことです。

しかし、それは決して簡単なことではありません。
だからこそ私達のような組織の心理支援の専門家がいるのです。
当社の強みは、組織の心理的安全性の確立と個人の心理的資本の向上のどちらのアプローチもできるという点です。

メンタルヘルス対策やハラスメント対策を含めた心理的安全性を向上させるノウハウと、ビジネスマンやアスリートの支援を通じて確立してきた心理的資本を向上させるノウハウを持って企業の生産性向上を支援しています。
心理的安全性の確立と個人の心理的資本の向上に取り組みたいということなら、ぜひ当社にご連絡ください。

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