脳に与える刺激と効果

人間の脳は可塑性という性質があります。
可塑性は、物体に力が加わり状態が変化した後、その力が掛からない状態になっても変化した状態が維持されることを言います。
粘土を指で押した時にできた跡が残るという状態です。

脳の可塑性は正確には神経可塑性というのですが、これは脳が一定の刺激を受けて神経に何らかの働きが生じるということを何度も体験することで、同じ刺激を受けた時の脳の反応が起こりやすくなることや同じ動作を繰り返すことによってその動作を起こすために必要な神経同士の連動がスムーズになるというものです。
この神経可塑性という性質を活かすことで日常生活の中で脳を鍛えることができるのです。

笑顔を作って幸福感を生み出す

脳科学には表情フィードバック仮説という説があります。
これは、特定の表情を作ると、その表情を作っている筋肉の働きによって脳に信号が送られ、その表情に合った感情が生み出されるという内容です。
例えば、意識的に笑顔を作ることで幸せな気持ちになるというような感じです。

日常生活で笑顔でいることを心掛けることで脳は幸せな気持ちが生じることが多くなり、辛いことがあっても精神状態を拡幅させる力が高まるのではないかと考えられています。

割りばしを加えて口角を上げる

表情フィードバック仮説が正しければ、笑顔は口角が上がった状態ですので口角を上げるようにすると精神状態も良くなると言えます。
笑顔を作る練習をしようとしても意識的に口角を上げることは難しいので、そんな場合は割りばしを横にして咥えて下さい。
そうすると自然と口角が上がり、脳がそれに反応して幸福感が高まるでしょう。

ストレスを抱えていて意識的に笑顔を作ることが難しく感じられる場合は、割りばしを咥えるという方法で強制的に口角を上げることをお勧めします。
この方法は、無理に気持ちを立て直そうということではないので、心理的負担も生じない良い方法だと思っています。

姿勢が相手に与える印象を決める

心理学の実験では、相手が立派な役職についていることよりも自分を大きく見せる堂々とした姿勢でいることの方が、その人から自信や力強さを感じるという結果が出ています。
自分を大きく見せる堂々とした姿勢はパワーポーズと言われていて、就職試験の面接の際でも相手に良い印象を与えると言われています。

この結果から言えることは、日頃から堂々とした態度を心掛けることで周囲の人は丁寧に接してくれるようにもなるので、自分の自尊心は高まるということです。
ただ、姿勢が相手に与える印象が強いだけに、自信のありそうな堂々とした態度なら良いのですが、偉そうで不躾な態度を取っていると周囲からは低い評価を受けることになってしまうので、そのような態度にならないよう気を付ける必要があります。

スキンシップでストレス耐性を強化

脳科学では、優しい言葉を掛けられるよりも手を繋いだり抱きしめるなどのスキンシップの方がストレスを減らす効果があると言われています。
これはスキンシップが脳内で愛情ホルモンと言われるオキシトシンを増加させるからです。

人間関係によって可能なスキンシップには違いがあるので、ストレス削減になるからといって誰にでも抱擁を求めることはできませんが、握手をするだけでもオキシトシンは分泌されるのでビジネスでは上手く握手を活用すると良いでしょう。
商談前に握手をするだけでも、お互いの警戒心を解いて建設的な話ができる関係性は作られやすくなります。

スイッチの切り換え

仕事やスポーツの試合で脳にしっかりと働いてもらうためには上手く休息をとるということが必要になります。
ここぞという時に力を発揮できる状態にある人は仕事でもスポーツでも結果を出しますが、これは休息が取れていて脳の状態が健全に保たれているからです。

日中にしっかりと働いた脳が、夜になっても高まりが抑えられないままだと脳疲労がたまってしまいます。
そのようなことが無いように脳の活動を鎮静化させるために有効な方法がいくつかあります。

呼吸法(腹式呼吸)

呼吸は、交感神経と副交感神経からなる自律神経の働きを調整する効果があります。
鼻から息を吸って口からゆっくり吐くということを毎日行なって下さい。
息を吸って吐ききるまでを10秒から20秒ほどかけて行なうことで落ち着いた気持ちを作ることができるのです。

漸進的筋弛緩法

漸進的筋弛緩法もリラックスするための方法の1つです。

身体の各部位の筋肉を順番に動かし、動かしている筋肉にグッと力を入れたと弛緩させるということを1つ1つの筋肉で行っていくのです。
ストレスで体のどこかに力がが言っていると脳も披露します。
この方法を行うことで、力が入っている個所に気づきやすくなり、意図的に力を抜いて脳と身体の疲労を抑えることができます。

自律訓練法

自律訓練法は、自律神経の働きにアプローチをすることで、上記のような症状を落ちつけて生活しやすくするための心理的技法です。
この方法は、繰り返し行うことで過度の緊張がとれ、疲労が回復し、心身ともにより健康になることがわかってきました。
その後、さまざまな工夫と検討が加えられ、より簡単に改良されたものが現在のものです。
詳しくは下記のページをご覧下さい。

自律訓練法の手順

まとめ

このページで紹介した方法の共通点は、身体から脳の働きにアプローチするということです。
自分の身体を操作することは誰もが意図的にできることなので、脳の働きを改善していくために実践しやすいと言えるでしょう。
どの方法も負荷の大きいものではないので習慣化することで健康で強い脳を作って頂ければと思います。

衣川竜也/きぬがわたつなり

企業の人財育成コンサルティング、研修を担当しています。
人材コンサルティングは、管理職を含めたリーダー育成のコーチングやミーティングを提供しています。
研修は、メンタルヘルス、ハラスメント、コミュニケーション能力向上、脳科学を基礎とした人材育成などを行っています。

資格 公認心理師


雇用クリーンプランナー公式認定講座
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