脳の対立

人間の脳は、他の生物に比べると高度な働きができるように発達していますが、発達しているがゆえに起こる問題があります。
それは脳の機能同士が対立するという問題です。

生物の進化の歴史の中で、脳の最も古い部分が脳幹という部分で、脳の他の部分から独立した機能を持っています。
脳幹の主な役割は生命維持システムとして機能して命を維持することです。
脳幹よりも新しい部分には、中脳と大脳があり、進化の過程では先に中脳が発達して、その後に大脳が発達したと言われています。
人間は他の動物よりも高度な脳機能を有しているのは、大脳の部分の体積が大きいためです。
脳の対立とは、この中脳と大脳が対立している状態のことを言うのです。

感情の爆発

脳の対立として表れる問題の1つが感情の爆発です。
これは何らかの理由によって中脳が刺激され、中脳の働きが活性化されることによって生じる感情を大脳が抑制できなかったときに起こります。
感情が抑制できている時は、中脳の働きを大脳が抑制しているのですが、あまりに大きな刺激を受けた時は急に中脳が激しく反応するため大脳の制御が効かないということがあります。
また、中脳の働きを大脳が抑えていても、それが長く続くことによって抑制が効かなくなるということもあります。
感情の爆発は、主にこの2つのパターンで起きるのです。

抑圧的な反応

脳は感情を爆発させて後先を考えない行動を取らないように抑制が働く必要があるのですが、抑制が強くなりすぎて中脳の働きを抑圧してしまうという問題もあります。
抑圧を続けることによって血圧が上昇する、脳の論理的思考や記憶を司る部分が委縮する、免疫力が低下する、五感の機能が低下する、心臓病になる、などの弊害が生じることがあります。
抑圧を続けると健康が損なわれ、命の聴きも生じてしまいます。

ストレスが対立を引き起こす

上記のような対立が起きるきっかけとなるのはストレスです。
脳はストレスを感じると自分を守るための防衛反応を示します。
その防衛反応が、攻撃的に出る場合は感情を爆発させるという方法で、調和的、逃避的に出る場合は感情を抑制してストレスをやり過ごすという方法です。
どちらの方法もある程度は大脳による抑制が効いていれば適度な防衛反応として効果的な働きになるのですが、抑制が効かないほど激しい反応が生じる時や抑制が抑圧への変わってしまう場合は自分や他者を傷つけたり、健康を損ねてしまうようなことが起きてしまします。
脳の対立とは、中脳と大脳の調和がとれなくなってしまい過剰な防衛反応が起きている状態です。

脳の調和を保つ方法

脳の対立が起きている状態が続くとさまざまな問題を引き起こしてしまうので、健康的な生活を送るためにはもちろん、仕事で成果を収めるためにも対立する脳を調和させることは必要です。
仕事で適切な判断をしたり、必要な行動を継続できる人は上手く脳機能を調和させているのですが、その方法は決して特別なことではありません。
しっかりと睡眠をとること、食事の質を高めること、運動をすることの3つです。

睡眠の重要性

仕事ができる人の中には、短い睡眠時間で働いていることを誇っている人もいますが、それを鵜呑みにして実践することは危険です。
睡眠が十分にとれていないと、脳は原始的な働きが強くなる傾向があります。
それは中脳の働きを大脳が上手く抑制できない状態であるため、他人と衝突しやすく鳴ったり、根気よく仕事と向き合えなくなってしまいます。
また、コミュニケーションの中で相手の顔から感情を読み取る能力も低下すると言われています。

しっかりと睡眠をとることは、上記のような問題を回避することになります。
また適度な睡眠をとることができた時、脳の中ではその日体験した出来事を記憶として留めるような働きが生じている中で、ノルアドレナリンの働きが抑制されてストレスが軽減されているのです。
嫌なことがあっても朝目が覚めたら気持ちがスッキリしているのは、十分な睡眠がとれているからこそ起きる現象だと言えます。
アメリカの企業の中には質の高い睡眠がとれている社員の適応力や生産性が高いことに注目して昼寝をすることを推奨したり、瞑想ができる環境を作っているところもあるそうです。

脳の健康を維持する食事

栄養価の高い食べ物から十分なエネルギーを摂取できる食事は感情が不安定になるのを防止してくれます。
その食事は、栄養豊富な野菜と果物、適量のたんぱく質、オリーブオイルやキャノーラ油など健康に良い脂肪酸を摂取できることが条件です。

タンパク質に関しては、トリプトファンとイミダペプチドを含む鶏の胸肉やマグロの尾っぽの肉を食べることをお勧めします。
その他の詳しいメニューは、栄養学の知識がある人に確認して下さい。

運動が脳に与える効果

実は運動をすることが習慣化している人は、運動をしない人に比べると認知テストの点数が高いと言われています。
長期的な記憶力、論理的思考力、問題解決能力、流動性知能、抽象的な思考力、記憶を手掛かりとした応用力など、全ての能力が運動をする人の方が高い傾向にあるという研究結果が出ています。
また運動をすることは、認知症のリスク低下、うつや不安症の改善経過を向上させる、脳卒中になるリスクが低下するという効果もあると言われています。
運動は、脳機能を低下させるストレスの軽減だけでなく、脳機能を鍛えてくれる効果があると言えるでしょう。

運動をする場合は、屋内よりも屋外で行う方が良いと言われています。
屋外で運動をした方が感情を制御する力やストレス耐性が高まるのです。
特に緑が多い環境で運動することはストレス軽減効果が高いためおすすめです。

まとめ

中脳と大脳の働きを調和させ、仕事や人間関係で適切な判断や行動を行っていくためには、脳に良い生活習慣を確立することが必要です。
睡眠、食事、運動を見直すことは、仕事で力を発揮するために有効な方法だということが理解してもらえたのではないでしょうか。
いきなりすべて見直すことは大変かもしれませんが、自分が取り組めそうなところからでも良いので集会の改善を始めてみましょう。

睡眠が良くなると起きている時の精神状態や頭の回転がスムーズになることに気づけると思います。
食事は効果を感じるまでに少し時間が掛かるかもしれませんが、毎日の積み重ねなので継続することで結果は出てきます。
運動も最初は億劫かもしれませんが、継続することで体の調子も精神状態も変化していくことを実感できるはずです。

自分は脳が上手く調和していないような気がするという人は、まずは上記の1つでも見直してみてはいかがでしょうか。

衣川竜也/きぬがわたつなり

企業の人財育成コンサルティング、研修を担当しています。
人材コンサルティングは、管理職を含めたリーダー育成のコーチングやミーティングを提供しています。
研修は、メンタルヘルス、ハラスメント、コミュニケーション能力向上、脳科学を基礎とした人材育成などを行っています。

資格 公認心理師


雇用クリーンプランナー公式認定講座
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