採用活動が少し落ち着き、10月には「内定式」や「内定者研修」などを実施する企業も
多いかと思います。

リクルートキャリアやマイナビなどの各調査によると、2020年卒の大学生(大学院除く)の
6月1日時点の内定率は7割を超え、7月末には8割を超えています。
2012年から始めた調査以来6月に7割を超えたのは初めてだそうです。

私が講師を務めている専門学校でも私の担当学科は6月末にはほぼ100%の内定率です。
思考錯誤しながら就職活動という未知の世界に挑み、内定を勝ち取った学生を心から
労いたいです。

しかし、内定後、つまり就職活動を終えた学生はどのような状況になっているのでしょうか。

 

就職活動終了はスタートラインです

就職活動を終えた達成感は十分に味わってもらいたいですが、ここが終点ではなく
出発点だということを本当に理解してくれている学生がどのくらいいるのか、日々考えます。

学生の本来の役割は「勉強すること」です。
それを踏まえて就職活動の時期をなるべく後にしよう、という動きがありました。
これらの動きは「努力義務」であり強制力はありませんでしたので、実際は早めに
学生を確保したい、という企業の動きを止めることはできず、結局また元に戻って
いきそうです。

学生は社会のいろいろな思惑に巻き込まれ、その都度方向転換をしなくては
ならなくなっています。これに関しては学生ができることは少ないかもしれません。

しかし、社会に出れば「以前と違う」「思っていたことと違う」ことばかりです。

全ての企業が足並みを揃えた就職活動は難しいと感じる今、学生の皆さんは
日々変わっていく世の中の流れになんとかくらいついていただきたいと思っています。

もちろん、企業側が学生を翻弄することなく真摯に対応していくことが大前提です。

 

いずれにしても、就職活動を終えてから卒業して企業に入社するまでの期間の学生を
どうフォローしていくか、ここが新社会人の陥る「リアリティショック」の軽減や
「早期退職」を防ぐひとつのポイントになると考えます。

私は学生の就職活動に向けて頑張っている姿と、就職活動後の気持ちの抜けた姿の
両方を見る機会が多いだけに、学校としての責任も強く感じます。

就職活動時の学生がピークであってはいけないのです
4月に入社した姿が、「こんな人だったっけ?」と企業側に「?」と思われては
企業側も学生も皆が不幸になります。

そのためには、学校として就職が決まったからOKではなく、その学校で
残りの学生生活をどう過ごすかを指導していく必要があります。

企業としては、内定者に対して「内定後は残りの学生生活を楽しんでください」という
言葉を投げかけます。もちろん学生時代にしかできないこともたくさんありますので、
いろいろな経験を積んでもらいたいとは思います。

それに加えて、数ヶ月先には自社社員になる学生をより成長させるための施策も
必要ではないかと考えます。

 

学生たちが社会に出れば、その責任は企業に移ります

ひとつのデータとして、

経済産業省『大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査』
(平成21年度調査)によると、

・主体性

・粘り強さ

・コミュニケーション力

に対する認識が学生と企業に大きな差が出ています。

つまり、学生はこれらを「できている」と思っており、企業は「できていない」と認識しています

 

また、

・語学力

・業界に対する専門知識

・簿記

については学生は「もっと身につける必要性がある」と感じていますが、
企業は「これらは入社してからで良い」と考えています。
少し古いデータではありますが、学生たちの傾向が良く出ていると思います。

 

学生が「もっと身につけなくては」、と考えている「語学力」や
「簿記」などいわゆる「勉強」については、点数や資格の有無などが見えやすく、
〇〇点を目指すにはもっと勉強が必要だ、と考えて取り組むことができます。
また、社会に出るといきなり難しい業務が待っている、という未知の世界への不安から
学力をもっと上げなくては、と考えることは理解できます。
学生の本分である「勉強する」ことにも繋がりますので、企業が「入社してからで良い」という
考えでいたとしても、ぜひ勉強は続けていただきたいです。

しかし、「主体性や粘り強さ、コミュニケーション力」などは目に見えにくいものです。
これまでの人生で培った自分自身を振り返り、何ができていて何が不足しているのか、
などのいわゆる「自己理解」ができていれば、何をすべきか考えることができるかも
しれませんが、ほとんどの人は日常不便なく生活し、また学生時代生徒会長をしていた、
部活で部長としていた、という経験などによって自分には
「主体性、粘り強さ、コミュニケーション力」がある、と認識している可能性があります。

しかし、社会に出るとここに差が出ます。

学生は「できている」と自信を持っていた「主体性、粘り強さ、コミュニケーション力」が
通用せず、「ギャップ」に悩み早々に退職してしまう・・・ということもあるかもしれません。

 

新社会人となる学生たちに
内定後の「今」できることはどんなことでしょうか

例えば、内定先企業でのアルバイトや内定者と先輩社員との交流会、
内定者が主体となって次の採用に向けてイベントを企画、運営する、など
学生同士の繋がりから、社会人との繋がりを強める環境へシフトした取り組みを
実施することも良いかもしれません。
これらの経験は、社会人として必要な「主体性や粘り強さ、コミュニケーション力」を
培うきっかけにもなるはずです。

また、社会に出ることにより、「好き、嫌い」だけで判断できない人間関係、業務が
あることを早い段階で知ることは、新社会人にとって有意義な経験になるのでは
ないでしょうか。

当然、社会に出た経験のない学生が企業内で活動することは、
企業内での協力体制が欠かせません。
つまり、学生の成長を促すことを目標にしながら、
結果的には自社社員の成長も促すことができる、というわけです。

人事担当の皆様のご苦労はあるかと思いますが、「離職率」を下げることに
繋がる可能性が高いことは早めに取り掛かることで、新入社員や受け入れる
現場のためにもなります。

今がちょうど学生から社会人へのすり合わせが少しずつできる時期だと思います。
内定者研修や懇親会などを大切にし、学生に少しずつ自社、社会を知ってもらう
機会にしてください。

 

就職活動を終えた学生が卒業するまでの期間は、
もちろんその学校の責任が大きくあります

就職活動を終えた学生が「燃え尽き症候群」にならないように、
学校としての取り組みも重要です。

AXIAでは就職活動を迎える学生、あるいは終わった学生を対象に、
「働くこと」を考える研修も実施しています。

学校関係の方々もぜひお気軽にお問合せください。